皆様、あけましておめでとうございます。
昨年は3年を経過したにも拘らず先行きの見えない欧州危機、中国の輸出の伸び悩み、アメリカの金融破綻・高い失業率・・・という経済状況の中、世界各国で政権が交代し続々と新しい指導者が誕生しました。また、中国との尖閣問題、韓国との竹島問題が新たな外交問題となり、日本の輸出関連企業が大打撃を被ることになりました。
わが国国内においては、3年3ヶ月続いた民主党政権が破れ、自民党圧勝の下、年末の12月26日には安倍内閣が発足しました。安倍政権への期待感から、2013年の大発会では日経株価は「震災前」を上回り1万700円台を回復し、為替も円安87円台後半となり、自動車や電機などの輸出関連株が全面高になっているようです。
経済再生を最優先に取り組むというものの、まだ期待感だけで、経済がよくなったという実感が全くありません。シャープ、パナソニックの大幅赤字そしてリストラと、大手の下請け企業をクライアントにもつ我々としては、戦々恐々たるものがあります。
巡回監査と決算を主たる業務とする私たちの仕事の内容は、基本的には関与先の業績には大きく左右されませんが、一昨年の秋頃より個人事業の廃業、法人の解散清算の声を聞くことが多くなり、また、会社内部での分裂、親族間のトラブルが増えてきたように思います。また、弁護士さん経由での相続税の申告業務も遺産が未分割状態のものが急増してまいりました。やはり、景気が悪く将来が見えないことに対する不安感が原因でしょうか。
戦後、日本人は欧米型資本主義の考え方に影響されてきました。会社は株主のためにあり、株主の価値を最大化するために売上や利益を何よりも重視するもので、自己の利益を最優先し他人を犠牲にする思想そのものです。最近、各会社では経営計画を立案し、また様々な手法を用いて事業の改善を図ろうとする試みが多く見られますが、大きな成果が出ておりません。この原因はおそらく経営者の考えが知らず知らずのうちに欧米型資本主義的になってしまっており、顧客の視点から外れてしまっていることにあるのではないでしょうか。顧客重視とは、自己の利益のためではなく、経営者の心の中に、安心で安らぎの住まいを提供したい、安心安全で美味しいものを提供したい、苦しんでいる方のお手伝いをしたい、・・・とか、本当に顧客を大切にしたいという強い「願い」が必要だと思います。
今年の干支は「巳」で、「起こる。始まる。」年です。また、脱皮をすることから「復活と再生」の年でもあるといわれます。まさに変革の年であるわけです。自然淘汰が加速する年だと思います。高度成長期はとうに過ぎ去ったにも拘らず、従来の考え方や価値観をもち続ける企業は急速に衰退の道を進むことになると思います。
今年から、他人のことを思いやり、助け合い、分け与え、個々人それぞれが尊敬しあえる共存共栄の社会が始まります。新しい価値観に切り替えて、積極的に事業に取り組んでいかれる皆様のよきパートナーとして、私たちは全力で取り組んでまいる所存であります。
今年は皆様にとりまして、よい年でありますように・・・ 祈。
2013年 年頭のご挨拶
中嶌大会計事務所 所長 中嶌 大