動画ニュース

2015年

証券税制について

 今回のテーマは平成28年1月1日から変更される証券税制についてです。
 平成28年1月1日以後、公社債の譲渡益を原則非課税とする取扱いおよび公社債の償還差益を総合課税の雑所得とする取扱いを廃止し、国債・地方債・上場公社債等(以下、特定公社債等といいます。)の譲渡・償還については、上場株式等に係る譲渡所得等として、所得税および復興特別所得税15.315%と住民税5%の合わせて20.315%の申告分離課税となり、利子等は上場株式等に係る配当所得等として、所得税および復興特別所得税15.315%と住民税5%の合わせて20.315%の申告分離課税となります。そのため、今まで原則非課税であった譲渡益が平成28年1月1日以後から課税される事となり、含み益が発生している場合は年内での売却も検討されたほうが良いでしょう。

 また、特定公社債等については特定口座での保管が可能となり、上場株式等に係る譲渡所得等と上場株式等に係る配当所得等の損益を通算した後に残った損失は、翌年以後3年間の繰越控除が可能となります。
 現在、満20歳以上の居住者であれば利用できる少額投資非課税制度について、0歳から19歳までの未成年者も利用できる少額投資非課税制度が創設され、平成28年1月から口座開設の受付が開始されます。
ジュニアNISAと呼ばれるその制度は、成人版のNISAとよく似ていますが、上限額はNISAが120万円(平成28年~)、ジュニアNISAが80万円となり、3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日までは払い出しに制限がある等異なる部分もあります。

詳しくは
平成28年1月からの個人の方が上場株式等を保有・譲渡した場合の金融・証券税制について(国税庁)
および
ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)に関するQ&A(日本証券業協会)
をご確認ください。

ストレスチェック制度について 

 平成27年12月1日から一定の事業者に対して「ストレスチェック制度」が義務づけられます。
近年、仕事や職業生活に関して強い不安、悩み又はストレスを感じている労働者が多くいる状況になってきており、職場において、より積極的に心の健康の保持増進が求められてきています。こうした背景を踏まえ、労働安全衛生法の一部を改正する法律が、平成26年6月25日に公布され、職場のメンタルヘルス対策に関して、新たに「ストレスチェック制度」が創設されました。平成27年4月15日に具体的な指針等が公表され、平成27年12月1日から開始されます。

 対象となるのは、従業員数50人以上の事業場で、毎年1回、この検査を全ての従業員に対して実施することが義務付けられました。なお、従業員数50人未満の小規模な事業場については、当分の間ストレスチェック等の実施が努力義務とされました。
 「ストレスチェック」とはストレスに関する質問に労働者が回答し、自分がどのような状態にあるかを調べる簡単な検査です。国が推奨している57項目の質問票に回答し、その結果、医師による面接指導が必要とされた労働者から申出があった場合は、医師に依頼して面接指導実施をすることになります。
面接指導を行った後、医師から意見を聴き、必要であれば就業上の措置を行うことになります。
また、労働基準監督署に対して、ストレスチェックの実施時期、対象人数、受検人数、面接実施人数等の報告を、年に1回行わなければなりません。
 ストレスチェックは個人情報性が高いものなので、その取扱いにも注意が必要です。

詳しくは厚生労働省HP改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について(厚生労働署HP)ストレス簡易調査票(厚生労働署HP)をご覧ください。

国外転出時課税制度について

 今回のテーマは平成27年7月1日から新たに導入された国外転出時課税制度(以下「出国税」)についてです。
そもそも出国税というのは何なのか?平たく言うと、外国に居住地を移す場合に課される税金のことです。といってもどんな人でも海外に移住すると課税されるというわけではありません。課税の対象となるのは以下のような方々です。

@ 国外転出の時に所有等している対象資産の価額の合計額が1億円以上であること。
A 原則として国外転出の日前10年以内において、国内在住期間が5年を超えていること。


これらが条件としてまず挙げられます。
こういった条件に当てはまる方々が、出国する(非居住者となる)とき、その時点において株式などを譲渡したものとみなして株式などの含み益について課税しようとするものが出国税で、政府としては国内から海外へ資本が一斉に流出する資本逃避を防止する狙いがあります。
@の条件にある「対象資産」には、有価証券(株式や投資信託等)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引及び未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)が該当します。
 出国税の課税対象者は、納税管理人(非居住者に代わって、税務署からの通知を受け取ったり、確定申告を行う者を言います)を選任した場合は、出国日の時価で譲渡したものとみなして課税され、翌年の3月15日までに申告納付しなければなりません。逆に納税管理人を選任しない場合は出国予定日の3ヵ月前の日の時価で譲渡したものとみなして課税され、申告納付は出国日までに行わければなりません。
 しかし出国税には問題点ももちろんあります。含み益を課税対象とするため、担税力のないところに課税することになり、納税資金が不足する事態になることも考えられます。さらに会社都合による海外赴任なども出国税の対象となるので、出国後に株式などを売却しないまま日本に帰国するケースも十分考えられます。ですので、そのような問題点も考慮し、納税猶予や減額措置がしっかりと設けられています。
 納税猶予の期限は原則5年、延長の届出をすれば10年まで延長できます。この手続きを受けるための条件として以下のものが挙げられます。

@ 出国日の属する確定申告にて納税猶予の適用を受ける旨を記載
A 納税猶予分の所得税額に相当する担保を提供
B 納税管理人の届出
C 納税猶予の期限まで毎年末の有価証券等の時価を税務署に届出


これらの手続きを踏めば、5年間(延長申請をすれば10年間)の出国税の納付の猶予が受けられます。この納税猶予の適用を受けた場合にのみ、出国時より安く株式を売却した際、売った時から4ヵ月以内に更正の請求をすることにより還付を受けられたり、株式などを売却しないまま帰国した際に、同じく4ヵ月以内に更正の請求により還付を受けられる減額措置があります。
 もっと詳しく知りたいという方は、国税庁が出国税に関するFAQを公表していますのでご覧ください。

マイナンバー制度について

今回のテーマは来年より始まるマイナンバー制度についてご紹介します。
マイナンバー制度とは、住民票を有するすべての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報で有ることを確認するためのもので、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現するものです。
平成27年10月より12桁の『マイナンバー(個人番号)』が通知されることとなっています。また、法人においては13桁の『法人番号』が指定されることとなっています。
具体的には、確定申告書及び届出書類の提出等、また年金の資格取得や雇用保険の資格取得等の際にマイナンバーを記載することにより、それぞれの個人情報を紐付けし、情報を一元管理することによって、不当な給付を防止することや届出時の添付書類の削減、手続きの簡素化につなげるものです。
 このマイナンバー制度導入による税務面での対応としては源泉徴収票・支払調書へのマイナンバーの記載が大きなものとなります。
従業員へ交付する源泉徴収票、税務署等へ提出する報酬等の支払調書にマイナンバーを記載することになっていますので、年末調整事務をする際に各従業員及び報酬の支払先に対してマイナンバーを提示してもらう必要があります。
また、源泉徴収票においては、扶養家族等のマイナンバーも記載することとなっており、扶養控除等申告書に扶養家族のマイナンバーも記載してもらう必要があります。
提示を受けたマイナンバーが正しいものであるかどうか、番号の確認及び身元の確認の行うことが義務付けられています。
具体的確認方法は、@『個人番号カード』(平成27年10月より通知されるものは『通知カード』と呼ばれるもので『個人番号カード』とは異なります。『個人番号カード』は『通知カード』の通知の際に同封されている発行申請書に顔写真を添えて市町村に郵送することによって取得できる顔写真入りのカードです)の提示を受ける。A『通知カード』のみの提示を受ける。B『通知カード』と運転免許証等の両方の提示を受ける。となっています。
@においては、顔写真入りであるため番号の確認と身元確認が同時に行えます。
Aにおいては、すでに雇用関係があり、雇用時等に身元確認を行っている場合、改めて身元確認を要しないため、番号確認のために『通知カード』のみの提示で良いとされています。
Bにおいては、報酬等の支払先(個人)が、『個人番号カード』を持っていない場合、『通知カード』による番号確認に加え、身元確認のために運転免許証等の提示を受ける必要があります。
マイナンバーはその性質上、個人を特定する情報となるため、その管理及び収集において厳しく制限されています。
その取扱者(個人番号関係事務実施者といいます)は、様々な策を講じて安全に取扱うことが求められています。
平成27年10月から『通知カード』が通知され、平成28年分の扶養控除申告書等から実務の対応が始まりますが、取扱に関する基本方針策定、取扱規程の整備、組織体制等の整備が必要となることから、今から対応を検討することが必要になってくると考えられます。
詳しくはこちら(内閣官房HP)

平成27年度税制改正について
今回のテーマは平成27年3月31日に成立した、平成27年4月1日以降に改正される税制について一部をとりあげたいと思います。
@法人税関係
 まず、法人実効税率が引き下げとなります。現在34.62%ですが、平成27年4月1日からは32.11%へ、さらに来年平成28年4月1日からは31.33%へ引き下げられる予定となっています。
A消費税関係
 次に、消費税率が8%から10%への引き上げが平成29年4月に延期することが決まりました。今年の10月に予定していた10%への増税は消費が落ち込んだため延期となります。今度は景気条項が考慮されないので、再延期はないことになりました。
B所得税・住民税関係
 続いてふるさと納税についてです。すでに確定申告をして寄付金控除の適用を受けている方もおられると思います。総務省の平成26年度の調べでは、全国で約13万件、寄付金額は約142億円になっているそうです。
変更点は一定の要件に該当すれば、確定申告をしなくても寄付金控除の適用を受けることができるようになります。要件としては、サラリーマンや年金生活者などで、かつ、寄付先が5カ所以内の場合です。これまでは、ふるさと納税をして、控除証明書を添付して確定申告をしなければなりませんでしたが、平成27年4月以降に行った寄付については、それが不要となります。
また、寄付金限度額も2倍に増えます。所得に応じて、寄付をした金額から2000円を除いたほぼ全額分が所得税と住民税から減税が受けれますが、その寄付額の上限が2倍に増えます。
詳しくはこちら(厚生労働省HP)
C相続税・贈与税関係
 最後に、孫への贈与が変更となります。これまでの教育資金贈与に加え、結婚・子育て資金に係る贈与税の1000万円の非課税措置が平成27年4月1日以降適用となります。
父母や祖父母など直系尊属から20歳以上50歳未満の子や孫へ1人あたり1000万円(うち結婚費用は300万円)を限度に贈与した場合、非課税となります。
祖父母世代から子や孫の世代へ所得の移転が進むと予測されます。

HOME > 動画ニュース > 2015年