平成22年度税制改正について
平成22年度税制改正は主に以下のようなものとなっています。民主党政権になって初めての税制改正であり、大きなところでは扶養控除の一部廃止・縮小、中小法人の軽減税率引き下げの見送りや一人オーナー会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度の廃止等、注目すべき点が含まれています。
○中小法人の軽減税率引下げは見送り
民主党はマニフェスト(政権公約)で中小企業の法人税の軽減税率引き下げを提唱していましたが、実際の減税は平成23年度以降に先送りされています。なお、平成21年度税制改正により、平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得金額のうち、800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率は18%に引き下げられています。
○一人オーナー会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度を廃止
平成22年4月1日以後に終了する事業年度から適用されないことになります。なお、特殊支配同族会社の役員給与に係る課税はいわゆる「二重控除」になりかねないとの指摘があるため、個人事業主との課税の不均衡を是正する抜本的措置が平成23年度税制改正で講じられる予定です。
○中小企業の少額減価償却資産の特例延長
中小企業者等が30万円未満の少額減価償却資産を取得した場合、その減価償却資産の年間合計額300万円を限度として全額損金算入できる制度の適用期限が平成24年3月31日まで2年間延長されます。
○中小企業の交際費の損金不算入の特例延長
交際費等の損金不算入制度の適用期限が平成24年3月31日まで2年間延長されます。600万円までの90%相当額について損金算入が可能です。そして、交際費支出が600万円以上の場合、損金算入限度額は540万円になります。
○中小企業投資促進税制の延長
中小企業者等が一定の設備投資やIT投資等を行った場合、税額控除(7%)又は特別償却(30%)ができる中小企業投資促進税制について適用期限が平成24年3月31日まで2年間延長されます。
○グループ法人税制の整備
企業グループの一体的運営が増加している中、課税の中立性や公平性確保等の観点から、100%グループ内の法人間の資産の譲渡取引等の損益の繰延や受取配当の全額益金不算入などの整備が行われます。なお対象法人は、連結納税制度を採用する法人以外の100%支配関係のグループ法人すべてとなるので注意が必要です。適用は原則的には平成22年10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
○住宅取得等資金の贈与の非課税限度額の引上げ
直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置が講じられます。
非課税限度額(従前500万円)が、平成22年中に住宅取得等資金の贈与を受けた人(改正前の制度500万円と選択適用)は1,500万円、平成23年中の人は1,000万円に引き上げられます。なお暦年贈与の基礎控除(110万円)は従来通り適用できます。
なお、適用対象者は贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の人に限定されます。適用は平成22年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用され、その適用期限は平成23年12月31日までとなっています。
○扶養控除の一部廃止・縮小
年少扶養親族(扶養親族のうち、年齢16歳未満の人をいう。)に係る扶養控除が廃止されます。また、特定扶養親族(扶養親族のうち、年齢16歳以上23歳未満の人をいう。)のうち、年齢16歳以上19歳未満の人に係る扶養控除の上乗せ部分25万円(個人住民税は12万円)が廃止され、扶養控除額が38万円(個人住民税は33万円)とされます。この改正は、平成23年分以後の所得税及び平成24年度分以後の個人住民税について適用されます。